絶体絶命の状態から並み居る牡馬を蹴散らし
強烈な末脚で府中の直線を突き抜けた
「女傑」ウオッカ
レースが最終コーナーから最後の直線と進んでいく中で、
1番人気のウオッカは馬群に包まれてもがいていた。
400m。350m。300m。進路が見つからない。
250m。前が開かない。
200m。馬群にわずかな隙間が見える。
その間隙に馬体をぶつけながら突っ込む。
目の前に緑のビクトリーロードが開く。
その瞬間に繰り出した竜巻のような豪脚は2馬身前を行く
1歳下の同じダービー馬、ディープスカイをあっさりと
飲み込んでいった。
4分の3馬身差でのゴール。
牝馬初の安田記念連覇。
ヴィクトリアマイル、安田記念の東京マイルGI連覇。
GI競走6勝目となり、牝馬のGI競走最多勝利記録を更新。
そして、総収得賞金が牝馬として史上初めて10億円に
到達した瞬間だった。
ヒシアマゾン、エアグルーブ、ダイワスカーレット。
ブエナビスタ、ジェンティルドンナ。
そして日本馬として初めて芝GI9勝のアーモンドアイ。
並み居る牡馬と戦い、素晴らしい成績を収め
「最強牝馬」と称された名馬たちの中でも
64年ぶりの牝馬のダービー馬であり、
そして、この安田記念で見せた強烈な印象から
個人的には「女傑」と呼ぶに最もふさわしいのは
ウオッカだと思うのです。
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